ソーシャルメディアレポート(SNS分析レポート)はベンチマークの指標を設定し、組織全体に及ぶ将来の戦略的意思決定に影響を与えることができる定性的で、現実的な指標を提供します。
SNS分析の種類は、SNSアカウント分析と口コミ分析(ソーシャルリスニング)の2つです。本記事は、まず2つの方法の特徴を説明した後、SNS分析レポートとは何か、レポートを作成するメリットを解説します。
続いて、SNS分析レポート作成に欠かせない10の指標をご紹介します。
SNS分析レポートに欠かせない10の指標
ネットセンチメント
センチメントドライバー
ブランド情熱度
トップドメイン
人気のあるメディア、リンク、投稿
情報源
デモグラフィック
トレンドアイテム
タイムラインとの比較
トピック比較
またソーシャルメディアに関するこれらの統計データは、明確なSNS分析レポートの必要性を示しています。
・81%の組織がソーシャルメディア分析を利用している。
・ソーシャルメディアにおけるブランドとのインタラクションのうち、Facebookが占める割合は23%。
・2020年にはInstagramのシェアが67%に上昇。
・世界では36億人以上がソーシャルメディアを利用しており、2025年には44億1,000万人に増加すると予測されている。
目次
SNS分析の主な種類
SNS分析は2種類に分けられます。一つは自社で運営するSNSアカウントのフォロワーの属性や投稿への反応などを分析する「SNSアカウント分析」、もう一つはSNS上にある一般ユーザーの投稿を分析する「口コミ分析(ソーシャルリスニング)」です。
SNS分析をする際は、2つの手法を組み合わせることになるでしょう。それでは、各手法の特徴を解説します。
SNSアカウント分析
SNSアカウント分析は、主に自社アカウントの現状把握や効果測定に活用します。具体的には、フォロワー数や投稿数を調べたり、「いいね」や返信などが多かった投稿を調べたりするために用います。また、自社広告のクリック数やコンバージョン(自社サイトへの遷移や商品購入など)数なども分析可能です。
SNSアカウント分析は基本的には各SNSの公式ツールを利用します。フォロワー数や返信数などの基本情報を分析する程度なら、X(旧Twitter)アナリティクスやInstagramのインサイトなどの公式ツールで可能です。
ただし、高度な分析をしたい場合は、有料ツールを利用します。例えば、自社と競合のアカウント運用の比較に強みを持つ「Quid Compete(旧Rival IQ)」なら、アカウントを登録するだけで自動的にデータを取得して、視覚的に分析しやすい形でレポート出力できます。
口コミ分析(ソーシャルリスニング)
口コミ分析(ソーシャルリスニング)とは、消費者が発信した情報を収集、分析してマーケティングに役立てる手法です。例えば自社名や商品名に関連した投稿を収集して「ユーザーは自社にどのような印象を抱いているか」「注目するべき感想やクレームがないか」などを調べます。
口コミ分析をすることには、以下のようなメリットがあります。
・ 消費者の本音や率直な意見を知ることができる
・ リアルタイム性が高く、タイムリーな対応につなげられる
・ 投稿数の急増などをチェックすることで炎上対策に繋がる
口コミ分析は手動で行おうとすると、情報量が多すぎる上、スパムや関連度が低い投稿などのノイズも含まれるため困難でしょう。このため、ノイズを除去するソーシャルリスニングツールの活用が必須です。Quid Monitor(旧NetBase)なら主要SNSはもちろん、掲示板や海外SNSなどの膨大なデータを効率的に分析し、レポート化することが可能です。
ソーシャルメディアレポート/SNS分析レポートとは?
ソーシャルメディアはブランドの売上、ブランド認知、エンゲージメントなどを促進する可能性があるため、積極的にSNS分析が導入されています。
実際、81%の組織がすべての経営戦略にソーシャルメディアを取り入れています。そのため、SNS分析レポートを作成して、企業や見込み客の優先順位を明確に示す必要が出てきました。WEBマーケティングにおいて、どこに力を注ぐべきかをSNS分析により理解することが重要なのです。
信頼できるリアルタイムの結果を得ることで、自社のマーケティングの長所と短所が明らかになり、取り組みをサポートしてくれます。
つまり、過去と現在のマーケティング活動を測定することで、オンライン・ブランドの健全性を示す地図となるのです。そして、将来に向けての戦略を立てるのに役立ちます。
SNS分析のレポートを作成するメリット
SNS分析をレポート化すると、情報共有が進む、ユーザーニーズを発見できる、マーケット施策を評価できる、という3つのメリットがあります。各メリットについて解説します。
社内で分析結果を共有できる
SNS分析レポートを作成すると、社内全体で結果を共有しやすくなります。特にグラフや表で視覚的にわかりやすいレポートがあれば、情報シェアが進むでしょう。SNS分析レポートはフォロワー数やエンゲージメント数といった定量的なデータが中心になるため、客観的なデータ、ファクトとして共有できる点もメリットです。
情報共有によって同じ現状認識や目的意識が生まれれば、社内の連携が強化され、コミュニケーションが活性化されます。部署横断的に解決できる事柄も増えるでしょう。
近年はユーザーの生の声をビジネスで活かすソーシャルリスニングを推進する企業も増えてきました。口コミ分析の結果を社内配信することで、従来、直接顧客と接する人しか知りえなかった有益な情報をシェアできるようになります。
ユーザーのニーズを見つけやすくなる
SNS分析は、ユーザーのニーズを発見するのに役立ちます。消費者が自発的に発信した投稿は貴重な顧客の声であり、アカウント運用や広告制作、商品開発などの参考になります。圧倒的なボリュームがあるSNS上なら、ニッチな分野の情報でも、多くのデータを集められるでしょう。
ソーシャルリスリングツールを用いると、ユーザーのインサイト発見にもつながります。インサイトとは、消費者自身がまだ意識していない本音や潜在ニーズのことです。インサイトを発見できれば、競合が少なく、優位性の高い戦略を立案しやすくなります。
マーケティング施策の振り返りに役立つ
SNS分析はマーケティング施策の効果測定にも活用できます。仮に認知度向上を目的にアカウントを運用しているなら、SNSアカウント分析でフォロワー数やエンゲージメント数などをチェックします。また、ブランディングの効果を調べたいなら、自社に関してよく使われるキーワードを定期的にモニターするのが効果的です。
SNSユーザーのトレンド、トピックは日々めまぐるしく変わっています。だからこそ、週単位、月単位、年単位でレポートを作成しながら、継続的に施策を振り返り、改善につなげることが重要です。SNS分析レポートをもとにPDCAサイクルを回していきましょう。
SNS分析レポートに記載すべき10の指標
効果的なSNS分析レポートには何を記載すべきか、悩んでいる人は多いかもしれません。
そこで今回はすべてのSNS分析レポートに記載すべき10の指標をご紹介します。これらの指標は、自社の統計データと上位3社の競合他社(カテゴリーが近い2社と、目標とする1社)の統計データを含むべきです。ではさっそく始めましょう。
1. ネットセンチメント
センチメントを理解することで消費者の心の中を知ることができます。消費者は貴社をどのように評価しているのか、そしてブランドとしての貴社をどう感じているのでしょうか?
ネットセンチメントはネガティブな感情とポジティブな感情のスコアを集計したものです。スコアが+100であれば、そのブランド、トピック、アイデアに対するすべての意見がポジティブであることを意味し、スコアが-100であれば、すべての意見がネガティブであることを意味します。ほとんどのブランドはその中間に位置し、多くは+50に収まっています。
ネットセンチメントは、消費者が自社に対してどのように感じているかを知るための第一歩です。次のステップはこれらの感情を動かしているものを理解することです。
2. センチメントドライバー
ブランドの感情を増減させているのは、属性なのか、行動なのか、それとも単なる感情なのでしょうか?
何が対立や喜びの原因になっているのかを理解することは、ネガティブな感情に立ち向かうためにも、満足している消費者のケアや維持をサポートするためにも不可欠です。
例えば、ワードクラウド(以下)では、「Groupon」を取り巻く主要な属性が明らかになっています。
このブランドに対するポジティブな感情は「お得」や「商品の品ぞろえ」といった言葉に牽引されています。一方、ネガティブな感情は「最悪のカスタマーサービス」や「ネガティブな返品」など、顧客サービスに集中しているようです。
消費者は体験に対してますます忠実になってきており、感情を理解することがより重要になってきています。
消費者があなたのブランドをどのように体験するかによって、そのブランドを再び体験するかどうかが決まります。そして、どちらの体験をしたとしても、彼らが友人に話すことは間違いありません。
考慮すべきもう一つの側面は、消費者がどれだけ強く感じているかということです。
3. ブランド情熱度
ブランドの情熱を過小評価してはいけません。情熱が強ければブランドは最高の形で勢いづくことができます。
ブランド情熱度のインデックスは、消費者が自社ブランドと競合他社を比較して、どれだけ情熱を持っているかを測定するものです。これには消費者の感情表現の強さが考慮されます。
つまりネガティブな感情が少なかったとしても情熱の強さは高い可能性があるということです。これは、追跡すべき領域を示しています。
他の分析手法ではネガティブな量が少ないことから小さな問題として無視される可能性があります。しかし、ご存知のように、ネガティブな情報ほど早く広がるものはありません。特に人々が情熱的に、強く感じている場合はなおさらです。
4. トップドメイン
つぎに熱狂的な消費者を探し出しましょう。 彼らはソーシャルメディア上の”どこで”あなたについて言及しているのでしょうか?
2020年、米国のソーシャルメディアにおけるブランドコンテンツのインタラクションは、Facebookが23%、Instagramが67%を占めていました。しかし、その先はどうなっているのでしょうか?また、あなたの消費者は具体的にどこにいるのでしょうか?これも重要な情報のひとつです。
消費者がどこにいるのかがわからなければ、その良い(または悪い)評判を、活用することはできません。
このシンプルかつ重要なステップは、消費者がRedditやX(旧Twitter)などのドメインを利用しているかどうか、また、それぞれのドメインでどれだけの投稿やメンションが発生しているかを教えてくれます。
また優れたSNS分析ツールは、投稿のサウンドバイトも素早く提供してくれます。人々がどのように話しているかをプラットフォーム別に比較することで、大きな違いがわかります。その結果、プラットフォームごとに適切なメッセージを発信することができるのです。
5. 人気のあるメディア、リンク、投稿
各プラットフォームには独自の投稿タイプがあるので、それを熟知する必要があります。
そして、ターゲットオーディエンスから意味のあるコメントやシェア、エンゲージメントを集めているアイテムに注目しましょう。
ブランドとしては、どの動画、画像、テキストベースの投稿が消費者の関心を集めているか興味があるでしょう。また、ブランドについて言及していなくても視覚的にブランドを表現しているメディアも含まれます。これは特に重要で、消費者が貴社の製品をどのように使用しているかという、新しく興味深い方法を知ることができ、新しいキャンペーンのアイデアが生まれる可能性があります。逆に、ブランド侵害を警告し、ブランドの評判を守ることもできます。
6. 情報源
ここでいうソースとはブログ、フォーラム、コメントデータ、ニュースサイト、専門家、従業員、消費者のレビューなど、実際にはソーシャルウェブ上のすべての情報源です。
多くの消費者がインターネットを利用していますが、そのすべてが一箇所に集まっているわけではありません。ブランドの全体像を把握したいのであれば、できるだけ多くの会話を捉える必要があります。
X(旧Twitter)のような特定の場所からしか情報を得られないのであれば、ストーリーの一部しか得られず、ブランドが脆弱になってしまいます。
7. デモグラフィック
オンラインで消費者を見つけるだけでなく、他の方法でも消費者を分類する必要があります。これは地理的な情報だけでなく、年齢、興味、職業、経歴、民族にまで及びます。
これにより、特定のオーディエンスの間で交わされている話題をよりよく理解することができます。これは消費者とより真摯に向き合うことができるだけでなく、ブランドが新たな領域に進出できるような新しいオーディエンスを発見することができ、ターゲティングを大幅に改善することができます。
SNS分析ツールは、オーディエンスの個人的な感情を反映した詳細情報を収集します。そしてデモグラフィックはブランドのメッセージに洗練されたタッチを加えます。
8. トレンドアイテム
世界では36億人以上がソーシャルメディアを利用しており、2025年には44.1億人に増加すると予測されています。
そのためブランドの声を届けるためには、トレンドを正確に把握することが重要です。 TikTokを見るだけで、常にトレンドを追う/設定するハッシュタグ・チャレンジがどれだけ人気があるかを知ることができます。
実際、ハッシュタグはトレンドにあふれていますし、絵文字も同じです。SNS分析レポートには、これらのトレンドのハッシュタグ、絵文字、語録などのリストを加えるとよいでしょう。
最初のステップは、あなたのブランドに関連する人気のある新しい事柄、用語、ハッシュタグ、絵文字、ブランド、または人物を特定することです。そこから、あなたのブランドやクライアントがどこにフィットするかを整理します。
例えば、ハッシュタグを戦略の一部として活用する必要があるかもしれません。
また、サステイナブルなキッチン用品を話題にする人が増えていることに気づけば、消費者の需要や感情に応えるためのアクションを起こすことができるでしょう。また、これらのトレンドを追跡することで、直近の四半期と1年間のトレンドアイテムの変化などを測定することができます。トレンドの移り変わりは早いので、追跡の重要度は非常に高いといえます。
9. タイムラインの比較
タイムラインの比較はSNS分析レポートでは絶対に外せない項目です。
1年前は「ヴィーガン」という言葉がトレンドになっていたかもしれませんが、今は「フレキシタリアン(柔軟な菜食主義者)」に変わっているかもしれません。しかし、会話や用語、情報を時系列で追跡しなければ、それはわかりません。
すべてのものは変化し、これらを追跡することでブランドは新たな需要に応えるため、あるいはPR危機を回避するために、瞬時に適応することができます。
トピック、テーマ、タグ、さらには製品ごとに時系列で追跡し、良いものも悪いものも含めて変化を監視することができれば、ブランドは事後対応ではなく先手を打つことができます。
10. トピック比較
またマーケティング費用をどこに使うかを検討する際に、簡単に分類できるトピック比較は欠かせません。
自社ブランドに関するトピックを作成することで会話の量を比較したり、競合他社との類似点や相違点を観察したり、さまざまなテーマを適用して、カスタマーサービス、価格、品質などに関する深い分析を行うことができます。
トピックの比較をおこなう方法は、用途に応じて無数にありますがQuid Monitor(旧NetBase)は信頼できる洞察力をもって、あなたの問題解決をサポートします。
SNS分析レポートを作成する準備ができたら、ソーシャルリスニングツールQuid Monitor(旧NetBase)が提供するより高度な情報をデモで確認してみてはいかがでしょうか。
SNS分析レポートを作成しよう
企業がSNSアカウントを運用する際には、SNS分析とレポート作成が必須です。SNS分析レポートによって、有益な情報の共有や、ユーザーのニーズ・インサイトの発見、マーケティング施策の改善など多くの効果が見込めます。
SNS分析レポートを効率的に作成するには、SNSアカウント分析ツールやソーシャルリスニングツールの活用が欠かせません。そこでおすすめなのが、ソーシャルリスニングツール「Quid Monitor(旧NetBase)」の導入です。口コミのデータを瞬時に分析してレポートを作成し、市場・競合調査や効果測定、炎上リスク対策まで幅広く活用できます。
TDSE株式会社のデータアナリストが個別にSNS分析レポートを作成することもできますので、お気軽にご相談ください。Quid Monitor(旧NetBase)について詳しく知りたい方はこちらへどうぞ。
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